その後は結局、また自分の部屋にこもって、時間を浪費していた。家に帰る他に、なにも思い浮かばなかった。
なにか新しいことを始めようにも、それをする意味が見いだせない。やったところで、どうせ、なにになるわけでもない。
けれど、そんな私にも唯一、小学生の時から続いている趣味が一つだけある。それは小説を読むことだった。
中でも特に私が好んで読むのは、いわゆる恋愛小説。単なる現実逃避かもしれないけれど、それを読んでいる間だけは心が軽くなる
そして、今、まさに私が読んでいるのは、冴えない毎日を送っていた高校生のヒロインが、ある日、突然、都合よく現れたイケメンと出会い、次第に心を惹かれていくような話。物語の中で二人は、数々の困難にぶつかりながらも、お互いの愛の力によって、最後にはそれを乗り越える。恋愛物じゃ王道なパターンだ。
夢中になって読んでいたら、いつのまにか日が暮れていた。結末まで読み終わった時、現実にもこんなことが起きたらいいのにと本気で思った。
本を閉じて机に置いたところで、一階の玄関が開く音がした。壁にかかった時計を見ると、お父さんが帰ってくる時間だった。
「七星、ご飯できたよ」
ほどなくして、一階からお母さんに呼ばれる。
お母さんが、私のことをどう思っているのかは、正直、よくわからない。少なくともお父さんみたいに、学校に行っていないことをとがめたりはしてこない。それに受験に失敗した日の夜だって、泣きついた私を慰めてくれた。でも。
本当はお母さんだって、私にちゃんと学校に行ってほしいって思ってるんじゃあないか。
今日、私が家に帰った時の、なにか言いたげだったお母さんの顔を思い出す。ひょっとしたら、いい加減、あきれられてしまったかもしれない。
「夕飯、食べたくないな……」
最近、なにを食べても美味しいと感じない。というか、そもそも途中でのどに引っかかって、上手く飲みこめない。
それになによりこの時間は、あの仏頂面のお父さんと嫌でも顔を合わせなきゃいけない。考えるだけで、憂鬱だった。
なにか新しいことを始めようにも、それをする意味が見いだせない。やったところで、どうせ、なにになるわけでもない。
けれど、そんな私にも唯一、小学生の時から続いている趣味が一つだけある。それは小説を読むことだった。
中でも特に私が好んで読むのは、いわゆる恋愛小説。単なる現実逃避かもしれないけれど、それを読んでいる間だけは心が軽くなる
そして、今、まさに私が読んでいるのは、冴えない毎日を送っていた高校生のヒロインが、ある日、突然、都合よく現れたイケメンと出会い、次第に心を惹かれていくような話。物語の中で二人は、数々の困難にぶつかりながらも、お互いの愛の力によって、最後にはそれを乗り越える。恋愛物じゃ王道なパターンだ。
夢中になって読んでいたら、いつのまにか日が暮れていた。結末まで読み終わった時、現実にもこんなことが起きたらいいのにと本気で思った。
本を閉じて机に置いたところで、一階の玄関が開く音がした。壁にかかった時計を見ると、お父さんが帰ってくる時間だった。
「七星、ご飯できたよ」
ほどなくして、一階からお母さんに呼ばれる。
お母さんが、私のことをどう思っているのかは、正直、よくわからない。少なくともお父さんみたいに、学校に行っていないことをとがめたりはしてこない。それに受験に失敗した日の夜だって、泣きついた私を慰めてくれた。でも。
本当はお母さんだって、私にちゃんと学校に行ってほしいって思ってるんじゃあないか。
今日、私が家に帰った時の、なにか言いたげだったお母さんの顔を思い出す。ひょっとしたら、いい加減、あきれられてしまったかもしれない。
「夕飯、食べたくないな……」
最近、なにを食べても美味しいと感じない。というか、そもそも途中でのどに引っかかって、上手く飲みこめない。
それになによりこの時間は、あの仏頂面のお父さんと嫌でも顔を合わせなきゃいけない。考えるだけで、憂鬱だった。

