流れ星みたいな恋だった

 あれから少し時間が経って、もうじき蝉の鳴く季節も終わろうとしていた頃。

 やっぱり、学校には行くことにした。いくら滑り止めだったとはいえ、せっかく受かった学校だし、やれるだけのことはやってみたいと思ったのだ。

 最初こそ、お父さんとお母さんに無理をしているんじゃないかと心配されてしまったけれど、ちゃんと自分の意志を伝えたら、二人とも快くうなずいてくれた。代わりになにかあったら、すぐにまた相談しなさいとも。




 学校帰りの電車の中で、私は窓の外をぼんやりと眺めながら、あの日、出会った不思議な彼のことを思い出していた。

 恋人ごっこなんて立派に称した彼との、たった一晩の短い出来事を。

 あれ以来、彼とは会っていない。駅にも来ないし、それらしき人を周辺で見かけることもない。 
 夏休み中に一度、彼の住んでいたアパートに訪ねようかと思ったことがあった。けれど、結局、道がよくわからなくて断念してしまった。

 今思えば、私は彼のことをなにも知らない。

 名前くらい、聞いておけばよかったな……。