残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。

面倒な説教が始まる前に話題変えたいな。


「藍里さんは自覚ってのものが足りないんですよ。ご自身がどれだけ可愛くて、どれほどお美しいかっ……」

「今日キムチ鍋が食べたいな」

「え?ああ、夕飯の話ですか?」

「うん」

「夏にキムチ鍋……ですか。いいですね。藍里さんが汗を滲ませながら食事をする姿を間近で拝めるなんて」


お前、絶対に犯罪歴あんだろ、何かしらの。

残念すぎるイケメンっていうか、気持ち悪すぎるイケメンでしょ。こんな奴のどこが良いのか……本当に分からない。なんで好きになったんだろう。


・・・・気付いた時にはもう、好きだったな。


── ガラガラッと玄関引戸を開けると、数人の組員が一斉にこっちを向いた。


「「「「お嬢!!おはようございます!!」」」」

「おはよう」


毎朝、家の掃除や庭の手入れをしてくれているおかげで、汚い所なんてないし常に綺麗な我が家。

毎日気持ち良く過ごせているのは、当たり前なんかじゃない。本当にありがたいことで、感謝しなくちゃいけないこと。


「みんな、ありがとう。いってきます」

「「「「いってらっしゃい!!!!」」」」


みんなに手を振って、正門の方へ向かっている時だった。


「なんっ……!?」