残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。

私がそう言うと、ピタッと歩みを止めた西嶋。

振り向くと、真剣な面持ちで私を見つめている。


「愚問ですね」

「はあ」

「目に入れても痛くない……いや、穴という穴に入れても痛くありません」

「……はあ?」


何を言ってるの、コイツは。


「耳の穴、鼻の穴、尻のっ……」

「それ以上は言うなぁぁ!!」

「んもぉ、そんな興奮しないでくださいよ~。僕も興奮しちゃうじゃないですか」

「マジで黙れ」


かっこいい御尊顔とイケボの“超絶無駄使い”とは、まさにコイツことである。


・・・・あーあ、ダメだ、アホらしい。


私が前を向いて歩き始めると、『へへっ』とか言いながら隣を歩く西嶋。


「では、獣の巣窟までお送りいたしますね」

「その言い方はやめろ」

「藍里さん。分かってます?ご自身の置かれている状況を」

「はいはい。わかっ……」

「だいたい共学へ行くのはあれほど反対したのに、あれやこれやと御託を並べて、本当に困ったちゃんでしたよ。藍里さんを下品な目でしか見れない野郎共の巣窟に、なぜ僕の大切な藍里さんを送り込まなくてはならないのか……。これはもう、拷問ですね」

「ハハー」