残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。

こんなんだから彼氏がいたこともなければ、他の誰かを好きになったことない。

西嶋もおそらく特定の女はいなさそうだけど、なんとなく『ああ、今日は女抱いてくるな』とか『ああ、女抱いてきたんだな』っていうのがモロバレだし、ロクな男じゃないのは確かなのよ。俗に言う“クズ”ってやつ。

そう分かっていても、嫌いになれないこの虚しさね。

もう自分でもヤバいっていうのは重々承知してるから、あまりにツッコまないでくれると嬉しいな。


── それから西嶋に邪魔されつつ朝食を済ませて、歯を磨く時ですら邪魔をしてくるもんだから、物理的に黙らせたのは言うまでもない。


コンコンッ。


「藍里さん。準備はできましたか?」

「うっ……」


『うん』と私が返事をする前に、ガチャッと部屋のドアを開けて、当たり前かのように侵入してくる西嶋。


「あのさ、返事する前に入ってくんのやめてくれない?」

「ハハハッ」


おい、笑って誤魔化すな。着替え途中だったらどうするわけ?


「ほんっとありえない」


『まあまあ~』とか言いながら近付いてきて、私の頬にそっと優しく手を添えてきた西嶋に、ドキッと胸が弾んで高鳴る。

これも毎日のことなのに全く慣れない。