残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。

あんな現実味のない、その場しのぎの話……だったはずだよね。

さすがの私でもあの話は鵜呑みにしてないし、本気にもしていない。

なんなら今の今まで忘れてたし。


「おーーい。藍里ちゃーん、楓さーーん。軽くなんか食べなーーい??」


砂浜で手を振りながら私達を呼んでいる玲於奈。

タイミング良き。マジで助かった。

ぶっちゃけ何がなんだか分かんなくて、脳内がパニック寸前。


「邪魔が入っちゃいましたね」

「……邪魔って言うな」

「ま、この話の続きは帰ってからにしましょうか」


私の頭を撫でると浮き輪の外へ出て、泳ぎながら浮き輪を引っ張ってくれる西嶋。


──── 結局、『あの日の約束』のことで頭がいっぱで、気づけばもう家に着いていた。


「到着しましたよ。お疲れ様でした」

「ありがとう。ご苦労様」

「いえいえ」


・・・・いや、お礼を言うのも何だか釈然としないけど。


車から降りようとドアノブに手をかけた時、瞬間移動を成し遂げた西嶋がドアを開けて、ニヤニヤ嬉しそうに私を見ている。


「どうぞ」

「……ああ、どーも」


あの話を振られる前にそそくさ逃げたい私は、何を思ったのか一番言ってはいけないことを言ってしまった──。