残念すぎるイケメンが、今日も今日とて私を溺愛する。

部屋に戻って荷物を持ち、廊下を早歩きしているとお父さんと出会した。


「おお、藍里」

「おかえり、お父さん」


明後日まで出張予定のお父さん。

きっとお母さんに会いたくて、さっさと終わらせてきたに違いない。


「どっか行くのか?」

「あーーうん。友達と出掛けてくるね」

「そうか。気を付けて行ってこいよ」

「うん。いってきます」


──── 周りを警戒しつつ、なんとかクラスの子達と合流した。


「なんか既に疲れた顔してるね~。藍里ちゃん」

「ああ、ごめん」

「楓さーん?」

「まあ、そんなとこ」

「よく許可出たね~」

「出るわけがないでしょ……」

「うわぁ、バレたらヤバそぉ~」


私の隣で恐ろしいことを言っているのは、私の家庭事情を唯一知っている親友……泉 玲於奈(いずみ れおな)。

小中高とずっと一緒で、ヤクザに偏見も無ければ興味もないって子。

だから玲於奈は、何度も家(小柳組)へ遊びに来ている。


「今日だけは西嶋のことを忘れてエンジョイしたい」

「まあ、高校生活最後の夏休みだしね~」

「それな」

「新たな“恋”みたいなのあるかもよ~」


──── 次へいけたら、どんなに楽なことか。