「来てくれてありがとう!」

「こ、こちらこそ、お疲れ様。」

お店も閉店時間を過ぎ、裏口から那樹が出てきた。
少し汗をかいていて頬に髪の毛が張り付く。

ここに那樹がいるんだなって、実感する。




「…えっ!!」

「…」

「ちょ、ま、待って、汗かいてる」

「どうでもいい」




沈黙。

私は那樹の背中に手を回した。
抱きしめる。

ずっと、ずっと…




「好き」




「那樹のことが好きだよ」




私は顔を上げ、少し私より背の高い那樹の顔を見上げた。
抱きしめたまま、お互いの鼓動が夜の静けさの中、ドクン、ドクンと聴こえてくる。


「え、だ、だって、病院…あの時」


「ごめん。…嫉妬してた」


何もかもが前に進んでいて、嬉しそうな、楽しそうな那樹が羨ましかった。
妬ましかった。


こんなこと、思いたくないのに

なんで私だけこうなるんだろう、って悲劇のヒロイン振ってた。



「私も、ごめん。」



那樹の腕も私の背中に回る。

「何が…」


「ごめん。全部知ってたんだ。」



「みやびの体のこと。…病院で、あの時、ご両親が教えてくれたんだよ」


私は那樹の胸の中に顔をうずませるように、そして抱きしめていた腕の力が少し強くなってしまっていた。