「お、久しぶりだねー」

「店長さん。お久しぶりです。」


どうやら店長さんは私の顔を覚えてくれていたみたい。
那樹から聞いていた通り、今日はミニライブをするみたいで、お店の奥側の席のテーブルと椅子は片付けられていて、その代わりに楽器が置いてあった。

私はカウンター席の端の方へ座る。
お店の奥側だからライブを1番近くでみれる特等席。

店長さんが何かを察しそこに通してくれたのだ。



いつもより席数を増やしたみたいで、お店は人でいっぱいになる。



「こんばんは〜!」



『今日、頑張るから』


そうメッセージが届いていた。

那樹は明るい笑顔でバンドメンバーと、そこだけ照らされているスペースに入っていく。



「~♪」



有名曲のカバーで観客も盛り上がっている。


私は目を奪われるように、那樹に釘付けになる。



(私の好きな人は、こんなにかっこよくて…)



やっぱり好き。

昔よりも自信に満ち溢れた、隣にずっと居てほしい。

あの頃よりも強くてかっこよくて、夢に向かって真っ直ぐな。




「…次はラストの曲になります。」



那樹と目が合った。

自然に口角が上がってしまう。


那樹は目を閉じる。




「今日のために、作りました。…大好きなあなたに届けたくて、作りました。聴いてください。…」



観客はあなたとは誰だろうと少しザワザワしていたけど、少しすると雰囲気を察したのか静寂に包まれる。