隣に座っていて、お互い目の前の景色をただ真っ直ぐ見つめたまま、たった2文字の言葉が風音に混じり聞こえた。


「みやびが、好き」


今度はお互い目を合わせて。

真凜は私の顔を見て、クスっと微笑んだ。


「急に言われても困るよね」

「…びっくりした」


そしてお互い顔を見るなり吹き出すように笑った。

オレンジの下、私たちの笑い声が響く。



それでも、



「ごめんなさい」




私の答えは、決まった。


「真凜のおかげで、真凜がここに呼んでくれて、私は前に進めるよ」

「あーあ、振られた挙句、勇気を与えるとか、私最高すぎじゃん!」

「ほんとだよ!」


真凜は目に薄ら涙を浮かべていた。

あの頃とは違う、私たちは過去に終止符を打って、次にやっと進める時が来たのだと。




「みやび。」





真剣な眼差しに私の瞳は自然と吸い寄せられる。


「幸せにならなきゃ、許さないから」


そう言って、なにか誇らしげに笑う。


「うん。」



私はゆっくりと立ち上がり、石の階段を登る。

その時、かすかに聞こえた言葉はなんと言っていたのか。

あの子のように私も…







「みやびに出会えて、良かった。…大好き。」