「尊厳は僕が乗ってきたバイクで帰って。我流と独璃は後始末をお願い」
エンラダの猛獣君はもちろん、綺麗顔の魔王様に従順ではない。
「面倒なことを俺に押し付けるな! 警察が事情を聞きたいのは、唯都とそのオメガ女だろーが!」と、満月に一吠え。
「発情しかかってる琉乃ちゃんを、早く楽にしてあげたいんだ」
「っつーかさ、オメガ女を発情させる気で可愛がれって、普通お願いするか? お願いなんて可愛いもんじゃなかったな。俺が女嫌いって知ってての命令、マジで腹立ったわ!今も怒りおさまんねーわ!」
「我流も尊厳も独璃も小さいころから演技を習っているよね。俺もだけど。自分の感情を殺して、別人格を憑依させるのなんて、数学が苦手な我流にとっては、方程式を解くよりも簡単でしょ?」
「悪意あるたとえ、やめろ」
「猛獣くんにもわかりやすいかなって思って」



