唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 わたし、発情しかかっているのかな?
 
 唯都様の腕に捕まっていないと、立っていられない。

 脳が熱に侵されていて、今にも地面に崩れてしまいそうで。



 「やっぱりダメだと思うんです……唯都様の相手が……私なんかじゃ……」



 なんとか目線だけを上げてみた。

 麗しい美顔がすぐ近くにあって、心臓が跳ねる。



 唯都様の瞳に宿る光が、甘くて、優しくて、孤高のお月さまみたいで。

 見とれずにはいられない。

 視線のほどき方がわからない。

 余計に呼吸が荒くなってしまうのは、もはやどうしようもない。


 
 誰かお願い、私の体の異変をどうにかして。

 せめて微熱時くらい、呼吸が楽になれば……

 


 「俺は今まで琉乃ちゃん以外のフェロモンを感じ取れたことはない。琉乃ちゃんも俺以外で発情したことはないよね」


 「エンラダのみなさんに触れられても、何も……」


 「それが証拠。間違いない。俺たちは運命の番だね」



 でも、まだ信じられなくて。

 本当に私なんかが、唯都様の特別でいいんでしょうか?