唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 特殊なオメガ。

 それについては心当たりがある。



 私をオークションで売ろうとしたアルファ男にベタベタ触られた時も、無反応だった。

 ついさっきだって我流くんたちの甘い声に、私のオメガフェロモンは全く反応しなくて。

 拒絶して逃げ出してしまったほど。



 「俺が触るだけで、こんなに息が荒くなっちゃうのにね」


 
 楽しくてたまらないと言わんばかりの唯都様の指が、私の唇をなぞっていく。



 心臓が苦しい。

 酸素が薄く感じる。

 息が吐き出しにくい、うまく吸えない。



「オメガの急所を俺に差し出したら危ないって、忠告しておいたはずだけど」



 私をいじめたいと赤みを増す彼の唇が、首筋に沈み込んできた。



 「いいの? 逃げなくて。今すぐ俺に食べられるよ」



 甘さとアルファフェロモンで脳がやられた私。

 ぼーっとしたまま、なんとか首を左右にブンブンと振り意思表示。