「さみしいから、今夜から僕と一緒に寝て。僕の頭をなでなでして寝かしつけて。お願い、琉乃ちゃん」
まるで迷子になった子犬のよう。
大きな瞳をウルウル潤ませ、甘えるように腕を私の腕にこすり合わせてきて。
「かわいい、かわいい」と、3色の甘い音色がなぜか絶えない。
私の頭や頬に3人の手の平がまとわりついてくる。
メガネの奥の瞳をアーチ状にしたまま尊厳くんが、私の背後に手を回してきた。
抱きしめられそうになり、私は肩を跳ね上げ大パニック。
勢いよく地面を蹴り、なんとか3人の檻から抜け出す。
ここまで走れば安全かな。
うつむきながら胸に手を当て、乱れた呼吸を整える。
大人気アイドル3人に構ってもらえること自体、贅沢すぎだってわかっている。
こんなふうに逃げ出して拒絶するなんて、おこがましいにもほどがある。
でも思ってしまったんだ。
はっきりと。
『私が可愛がられたいのは唯都様だけ』



