唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 これは……壁ドン?



 ううん、車ドンか。

 なんて……


 
 どうでもいいことを考えている場合では、ありませんでした。

 私の目の前に迫っているのは、切れ長の目を艶っぽく揺らす我流くんのワイルドフェイスで


 「オマエさ、唯都じゃなくて俺を選べよ」


 あごをクイっと持ち上げられたから、飢えた野獣のような瞳と視線が絡まってしまう。



 真横から私の耳たぶを指ではさんだのは、執事っぽくおっとり微笑む尊厳(そんげん)くん。



 「フフフ、可愛い人ですね。私だけのお嬢様になる契約を結んでいただけませんか。命を懸けてお仕えいたしますよ」


 耳に甘い吐息が吹きかけられ、足の震えが止まらない。



 大人っぽくて色っぽいエンラダメンバー。

 唯一おさな顔の独璃(ひとり)くんは、何もしてこないかと思いきや……

 私のスカートをつまみ、ツンツンと控えめに引っ張ってきた。

 キュートな上目づかいで、私を見つめてくる。