唯都くんは『運命の番』を溺愛したい




 話し合いが終わったみたいだ。

 浮かない顔の我流くんと尊厳(そんげん)くんと独璃(ひとり)くん。

 3人が私の方に歩いてくる。

 状況がつかめずにいると、いつの間にか私はアイドル様たちに囲まれていた。



 日本を代表するトップアイドル。

 彼らがコンサートホールのステージに立ち、スポットライトを浴びながら歌い、満員のお客さんのキャーキャー声を浴びていたのは、たった数時間前のこと。

 


 なんだろう、この緊張と闇が溶けたような重い空気は。

 目の前の3人から、私は逃げたくてたまらない。



 でも背後には車がそびえている。

 360度、逃げ道はどこにもなくて。




 「嫉妬で狂った唯くんに、あとで呪い殺されませんように」



 祈るように手を合わせた独璃(ひとり)くんが、大きな瞳を見開いた直後だった。

 ワイルドに髪をかき上げた我流君が、私の後ろの車に勢いよく片手をついたのは。