唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「もしかして琉乃ちゃん、まだ信じてないの?」


 「え?」


 「俺たちが運命の番だってこと」



 不満げな声が降ってきて、私は恐る恐るコクり。



 「だって唯都様には、私なんかよりももっとふさわしい人が……」


 「ふーん」




 てんぱる私に返ってきたのは、地を這うような暗くてそっけない声だった。



 唯都様は冷たい目で私を見ると、何も言わずに回れ右。

 私に背を向け、歩きだしてしまった。




 遠のいていく彼の背中が怖い。

 私に対しての怒りを溜め込んでいるかのよう。

 

 今度こそ本当に、嫌われてしまったんだろうな……
 
 大好きな人からの拒絶が涙腺を攻めてきて、雫が製造されそうになる。




 唯都様は、エンラダメンバーが乗ってきたワンボックスカーの前で足を止めた。

 我流(がりゅう)君たち3人と向かい合い、何かを話している。



 遠すぎて会話なんて聞こえない。

 唯都様もエンラダの3人も、不機嫌そうな顔で言い合いをしているもよう。