唯都くんは『運命の番』を溺愛したい



 ああ……あの時ですか……


 唯都様の好きな人はあまねさん。

 私は彼女の代わり。

 そう思い込んでしまって、悲しすぎて、唯都様の話が耳に入ってこなかったんです。



 でもでも、やっぱり納得がいきません。

 唯都様があまねさんに恋をしていないなら、説明がつかないんです。



 「唯都様はなぜ私なんかを、運命の(つがい)だと思い込んだのですか?」



 だって私は、唯都様に好かれるような人間じゃない。

 高貴で優秀なアルファでもない。

 理亜ちゃんみたいな、すれ違う人が振り返る美人さんでもないし。

 両親からも愛されないほどの、魅力も可愛さもないただの女子高生。

 大人気アルファアイドル様に、私なんかが選ばれるはずがないんです。