唯都くんは『運命の番』を溺愛したい



 間接的に心までくすぐられてしまい

 恥ずかしくて

 呼吸が苦しくて

 顔が燃えそうになった私は


 「見続けるの……もう……無理そうです……」


 唯都様の手を振り払うように顔を揺らし、なんとか視線を足元に逃がす。




 「独璃(ひとり)のこと、好きになっちゃった?」



 え?



 「車の中であの子と二人きりになって、好きにならないはずがないか」



 ん?

 ままま、待ってください。



 「うちの可愛い担当が半径1メートル以内に入った時点で、ハートを掴まれる事案が後を絶たないんだ。琉乃ちゃんも独璃に沼ったんだ……」



 いったい、何の話をされているんですか?

 私が独璃くんを好きになったと、勘違いされてる?



 そそそ、そんなはずありません。

 私は唯都様が大好きなんです。



 だって今も、倒れそうなくらい心臓が暴れていて。

 手の平で包まれている頬も、燃えないかと心配になるくらい熱くて。

 ほんとうに大好きで、大好きで、大好きで。

 唯都様以外に心を奪われるなんて、絶対にありえないんです。