唯都くんは『運命の番』を溺愛したい



 
 「独璃(ひとり)の顔を忘れるくらい、ずっと俺だけを見ていて欲しい」




 わかっています。

 頑張ります。
 
 忘れる努力をします。

 唯都様のこと、記憶から消し去れるように。



 ……って。



 んんっ、ひとり君?



 それっていつの間にか車からいなくなっている、エンラダのキュート系アイドルくんのことですよね?

 


 脳にひしめくハテナたち。
 
 高速まばたきをしている私の頬が、ガチゴチに固まってしまう。



 「まだ独璃のことを考えてる。琉乃ちゃんの網膜は誰を写すために存在しているの? 俺限定でしょ?」



 唯都様の両手が、再び私の頬を包みこんだ。

 

 サラサラな前髪からのぞく、色気のある目もと。

 甘い熱がこもった綺麗な瞳で見つめられ、心臓がドキっ。

 頬を親指の腹でなでられ、脈がバクついて静まらない。