唯都様のカッコ良さは、私の脳内に刻まれすぎている。
今すぐ忘れるなんてできない。
本当は忘れたくないけれど……
俺の好きな女性は、神楽琉乃じゃない。
天国にいる天禰だ。
唯都様がそう認識した以上、私には唯都様のそばにいちゃダメなんだ。
もともと私なんかと人生が絡むはずのない、別世界の大スター。
優秀なアルファで、お金持ちの御曹司で、優しい王子様と闇深い悪魔な部分を持ち合させたリバーシブルアイドル。
唯都様の魅力に取りつかれ、沼り、彼をあがめたたえている人は世界中に数えきれないほどいる。
いま彼の瞳に映っていることすら、本当におこがましい。
ちゃんと言わなきゃ。
『今までありがとうございました』って。
私からサヨナラを告げないと、唯都様に気を使わせてしまう。
大好きな唯都様に、これ以上嫌われたくもない。
「あっ、あの……」



