唯都くんは『運命の番』を溺愛したい



 いま振り返ってやっと理解した。

 双子だからこその辛いことが、私たちにはたくさんあった。

 でも双子だからこその尊い思い出も、たくさんある。


 忘れていただけで。

 思い出そうとしなかっただけで。

 理亜ちゃんに救われたことが、たくさんたくさんあったんだ。




 足の裏でふんばりながら、私は拳に力を入れる。

 伝えたい感謝が言葉にできなくて、気持ちを伝えるのが不器用で、じれったくて。

 目の前の理亜ちゃんの目をじっと見つめ、今度こそ届いてほしいと眼力を送る。



 「理亜ちゃんにお願いがあるの」


 「聞きたくない! 理亜の声なんて! もう黙ってて!」



 お願い、ちゃんと聞いて。



 「今から理亜ちゃんだけで逃げて欲しい」


 「は?」


 「理亜ちゃんはこの長椅子の下に隠れていて。ドアから遠い祭壇に、私はあの男をおびき寄せるから。その間に外に出て欲しいの」



 そうすれば理亜ちゃんは助かる。

 唯都様も男に捕まることはない。