あの男が戻ってくる前に、この状況を何とかしなきゃ。
お腹と腕が縛られていても、長椅子に持たれながらなんとか立ち上がることができた。
足が自由で良かったと、ぬるいため息が漏れる。
地獄に突き落とされる直前に咲いたこの安堵に、笑顔を作れるほどの安心感はない。
時間がないんだ。
早く何とかしなきゃ。
唯都様が助けに来るってあの男は言った。
巻き込んじゃう。
関係ないのに。
全部私のせいなのに。
あの男が戻ってく前に。
唯都様がチャペルに来てしまう前に。
脳内に闇を貫くような後光が差す。
そっか、それだ!
やるしかない、怖いけど。
縄が食い込む腕を体ごと左右に振りながら、私は理亜ちゃんの前まで駆ける。



