すっと目を閉じる。
座ったままチャペルの祭壇に体を向け、私は祈りをささげた。
両手の指を絡めて懇願したい。
できないのがもどかしい。
お腹と一緒に腕が縛られていなければ。そうすれば。
怒りを踏みしめるような足音が鳴る。
近づいてきている、コツコツと。
私は慌てて目を開けた。
この足音は……
「もう頭にきた! 全部パパに言いつけてやるんだから!」
理亜ちゃんだ。
がに股の大股で男の前に詰めより、スマホを印籠のように突き出している。
「私に蹴りを入れるなんて何様なの? 私は神楽家の長女、神楽理亜よ。今すぐ額を床にこすりつけて土下座なさい。じゃないとあなたが琉乃を海外に売り飛ばそうとした証拠、今すぐネットにばらまくからね!」
まるで怒りで嵐を起こす魔女。
蹴られて流した涙は、もう干からびたみたい。
しゃがんでいる男の前で王立ちを決めこみ、真上から鋭い眼光を突き刺して。



