あっ!と目を見開くと男はニヤついた。
腕を組み、気持ち悪く頷いて。
「俺が誰なのかわかったようだな」
あなたは……
「あの写真の……アルファで……私の元婚約者で……」
悪寒が駆けあがる。
唇が震えてまともに話せない。
両親に無理やり婚約させられそうになった相手。
そう、まさしくこの男だ。
お父さんと同じくらい深い、目じりとほうれい線のしわ。
身長は私より少し高いくらい。
でも痩せ細っている私の倍ぐらいありそうなほど、ウエストに肉が蓄えられている。
自分に自信がなく、うつむいていることが多い私。
人の顔をはっきり目に焼き付けないクセが、あだとなってしまった。
コンサート会場まで送迎してくれる運転手が元婚約者だとわかっていたら、車に乗りこまなかったのに。



