唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 お互い素直に謝れないのは、出会った幼稚園の頃から始まっていた。

 こうやって視線をそらして謝るか、拳を交えてごめんねを伝えるか。

 この不器用な関係は嫌いじゃない。

 表面上の薄い付き合いより、よっぽど相手を信頼できる。



 「琉乃ちゃんを泣かせる男には、なりたくなかったんだけどな……」



 足を止め悲痛な目で満月を見つめていると、ダメージジーンズのバックポケットが騒ぎ出した。

 震えが落ち着く気配がない、電話か。

 ポケットからスマホを取り出す。



 「琉乃ちゃんからだ……」



 コンサート前までの俺なら、画面に琉乃ちゃんの名前を見つけた瞬間に飛び上がっていただろう。

 でも今は違う。

 電話に出たくない気持ちが大きい。



 嫌な予感しかしない。

 通話を繋げてしまったら、別れ話を切り出されそうな気がして。



 いや、それはないか。

 俺が琉乃ちゃんの家の借金を肩代わりすることになっている。

 我流の言っていた通り、責任感の強い彼女が俺との縁を切ることはないだろう。