せつなく漏れるため息が、月夜に溶ける。
今夜が満月なのも、この場所が明るい要因の一つなのかもな。
麗しく輝く満月に『大好きな人の幸せを一番に考えなさい』と責められているような気がして、自信なさげに背中が曲がってしまう。
かかとを引きずるように歩いていると、俺を大股で追い越した我流が足を止めた。
「さっきは……言い過ぎた……」
背中越しの弱々しい謝罪。
「アマネみたいにつぶれる奴……見たくなかったっつうか……」
威張り屋の我流の背中って、こんなに小さかったっけ?と、罪悪感で心臓がきしむ。
「言いにくいこと言わせてゴメンね……我流……」
闇に消えそうな声でつぶやくと
「手桶に水入れて持って来いよ!」
我流はキャップの上から俺の頭を乱暴に撫で
俺を見ることなく大股で去っていった。



