唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 やっと顔をあげた我流は、苦しそうに眉間のしわを深めている。

 俺を軽蔑しているかのよう。

 信じられないとでも言いたげに開いた瞳孔が、キリッと俺を捉えた。



 「あのな唯都、それが極甘で最悪な脅しだって言ってんの!」



 人差し指を顔の前に突き出され、俺の肩甲骨が背もたれに逃げる。



 「あのベータ女は、二度とお前の呪いから逃げられない」


 
 呪いという物騒な言い回しに、正直、怒りが湧いた。

 我流も天禰の死を悲しんでいる同志だと思って、なんとか微笑みを浮かべたのに。

 もう笑顔は作れない。

 一瞬で血が煮えたぎり、怒りを込めた言葉を我流にぶつける。



 「俺と琉乃ちゃんは運命の番だ!」



 その事実は変わらない。

 俺のアルファの血が、間違いないと確信している。