後ろから回されていた腕が片方、今度は私の頭部に絡みついてきた。
「大事にしたいよ、琉乃ちゃんのこと。宝物を愛でるように」
切羽詰まった辛そうな推しの声は、私の耳に甘い。
「姫を笑顔にする王子様でいたいのは本当。でも醜い感情も一緒に生まれてしまうんだ。俺のフェロモンでドロドロに歪む君も見たくてたまらなくて」
葛藤を言葉にされると、本当に愛されているんじゃないかと思い込んでしまいそうになる。
でも忘れないようにしなければいけない。
私はただの代わり。
最愛の人に雰囲気が似ているだけ。
唯都様が本当に愛でたい相手は、天国にいる天禰さんなんだから。
あらわになった私の首筋が、なぜか燃えるように熱を生みだした。
後ろから抱きしめられたまま、首に指をあててみたけれど
「今は俺だけに独占させて」
首から遠ざけられた私の指の間にゴツゴツした指が絡みついてきて、これは恋人つなぎだと胸が高鳴りを極める。



