そっか、コンサートハイになって体調を崩しちゃったんだ。
あれだけ完璧な歌やアクションを披露した直後だもん、当たり前だよね。
今日までの練習だってハードすぎたはずだし。
大人気アイドル様を早く休ませてあげなきゃ。
「唯都さま、楽屋に戻ってください」
素直に従ってほしくて、後ろから抱きしめられたまま自分の体を揺らしてみた。
けれど返事がなく、もう一度口を開く。
「唯都様?」
「琉乃ちゃんの背後……俺の弱点っぽい……」
え? 背後?
「お願い、俺から逃げて」
「いっ、今ですか?」
病人を置き去りなんて心が痛みます。
せめて楽屋に送り届けてから……
「琉乃ちゃんにはわからない?」
「?」
「俺の中でアルファの血が騒ぎだしてるんだ」
刀を持つ手の平から伝わってくるこの震えは、まさか、体調不良ではないと?



