唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 ダメージジーンズに黒Tというラフな格好。

 麗しい王子顔に、キャップと黒縁メガネが悪っぽくきまっていた。



 男の色気をまとっていて、悪っぽさもあって、ポスターが欲しいくらいカッコよくて。

 軽いパーティーに参加するような綺麗めな服を着ることが多い唯都様だから、新鮮で。



 名残惜しいな。もう少し見ていたかったな。それが本音。

 口にはできないけれど……



 なんて、推しに心を奪われている場合じゃありませんでした。



 「わっわわっ私には……刀を振るとか……絶対無理です……」



 私の前に戻ってきた唯都様は、持っていた刀も置いてきたみたい。

 空っぽになった彼の手のひらに、私が持っている刀を握らせよう。

 刀を返すなら今しかないと思い、唯都様の方に手を伸ばしたのに……



 「両手で刀を握ってみて」



 いつの間に私の背後をとった?

 芯のある声が届き、私の背中が緊張の糸を張る。



 「模造刀だからって刃の部分に触れないよ。持つのはここ」



 私の肩に沈み込む腕。

 背中には唯都様の体温がなじんでいる。

 背後から抱きしめるかのような捕らえられ方がくすぐったくて、ハートの疲労が募ってしまうから困りもの。