唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 
 私からペンライトを奪い「ちょっと待っててね」とステージ袖に消えていった唯都様が、まさか日本刀持って戻ってくるなんて。

 予想ができなかった私は、想像力が乏しすぎなんでしょうか。



 しかも片手に一本ずつ。

 刃が細くて、長くて、剣先に向かってしなやかな弧を描いていて……って。

 ん、なぜ2本?



 「キョトン顔かわいい。琉乃ちゃんと刀を交えてみたくてね」



 どうやら私の心は読まれていたもよう。



 「ね、いいでしょ?」と期待に満ちたキラキラな瞳で微笑まれたから、つい日本刀を受け取ってしまいましたが……



 「えっ? 私がこの刀を振り回すってことですか?」


 「正解♪」



 コンサートでプロの殺陣(たて)を目の当たりにした、今ですか?

 ムムム、ムリです無理です、私には!

 強めの驚きで体中が震えだしたせいで、刀を落としそうになってしまいました。



 「もうお客さんは残っていないから変装する必要はないんだった。アクションに邪魔な帽子やメガネは隅に非難させておいてと」



 ステージ端にすすんだ唯都様が、壁の前でしゃがみ込んでいる。
 
 メガネ取っちゃうんだ……