「オメガの急所は大事に守って欲しい。たとえ相手が俺であっても」
だから私はオメガでははくて……
声に出したかった。
でも出せなかった。
だって唯都様が、愛おしいものをめでるような瞳で優しく微笑んでいるから。
「俺たちが番う瞬間は、世界中で自分が一番幸せだと琉乃ちゃんに思ってもらいたい」
「……番う……瞬間……ですか?」
「琉乃ちゃんに発情期が来ました。放たれたフェロモンにアルファの俺が抗えませんでした。ムードがない場所で理性を飛ばして首をガブリ。そんな情けない番い方は、絶対に避けたいからね」
さらに口元を緩めた唯都様は、私のおでこにチュ。
癒しを与えるような甘いキスの温もりが、じわりと肌下に浸透していく。
時間差で襲われた恥ずかしさに、私はペンラを持つ手の甲で目を覆ったけれど。
視界が暗くなってやっと、数分前の会話がカムバック。
話が脱線していたことに気づくことができました。



