「先に仕掛けたの、清野さんだよね?こんな状態で、俺のこと起こすとか。おかしくさせる気満々じゃん」
「や、そんなつもりは……」
「清野さんにそんなつもりなくても、こっちはスイッチ入っちゃうから。……せっかく、色々我慢してたのに」
「えっ……」
「直接話すと、色々抑え効かなくなりそうだったから。だから、メッセージも当たり障りなくと思って……」
そう……だったんだ。
「……俺なりに、清野さんに嫌われないようにって、必死に──」
「き、嫌わないよっ!……こ、こんなに痛いぐらいドキドキさせられて、嫌いになれ───」
話し合える前に、私の唇は塞がれてしまった。
目の前は、目を瞑った角来くんでいっぱい。
こ、これって……。
「なんで煽っちゃうかな」
鼻先が触れ合う距離で、角来くんがつぶやく。
煽ったつもりなんて……。
「全部、心菜のせいだよ」
「なっ……」
急な名前呼びに、さらに胸の音が騒がしくなってしょうがない。
「我慢してた分、止められないから」
角来くんは、そう言いながら、飴をもった私の手のひらを広げて、その飴を袋から半分出して、こちらに向けた。
「ん。口に入れて」
「えっ」
「ほら」
言われるがまま、口を開けば、コロンと小さな飴が舌を転がって、口いっぱいに、レモンの爽やかさとはちみつの柔らかい甘さが広がる。
「……心菜のせいで、喉痛いんだけど」
「えっ、」
「これ、ちょうだいよ」
私の唇を親指でなぞってそうねだる角来くんが、ニヤッと妖艶の笑みを浮かべた。



