そこは2005年の日本だった。 季節は夏。 とてつもなく蒸し暑かった。 胸苦しさというものを初めて知った。 ニナはというと、ファッションビルの路頭にいた。 そこは人様であふれかえっていた。 左も右も、どこからも人様。 ニナは目的を忘れそうだった。 それは今まで夢見ていた、憧れの人様が手に触れられる位置にこれでもかというくらいにいるからだった。