ニナは、ここは夏であったことを忘れてしまっていた。 屋上はとてつもなく暑くて、コンクリートの照り返しも相まって我慢ができないところのはずなのに、 汗ひとつ落ちなかった。 ウルはニナに冷気を漂わせた。 心がとてつもなく冷がっていたのだ。 一見、顔立ちが整っていて、心からも綺麗な言葉が飛び出しそうに見えるのに比べて、実際は違っていた。 ニナが天界で気になっていた冷気の証拠はまだつかめなかったけれど、まとっていたのは確かだった。