冷ややかな風だった。 「なに、」 ウルは振り向きもせずに言った。 暑いはずなのに、長袖のワイシャツを着たウルは、少し異質で、それでもって汗をかく様子もなかった。 ニナは答えた。 「わたしがいるよ」 そこで初めて、ウルが鉄骨から離れたのである。