ハルサメレオンの春




 「まあ、共演シーン多いですからね」

 「ですよねー?私こういったの初めてで正直緊張してます。だからこそ本気で挑みたいんです」

 「僕もですよ。恋人役は今までなかったので」

 「…恋人、特別な響きですよね。益々緊張します」

 「今回の制作陣…とくに監督とは初なので出方がわかりませんけれども、良いお芝居ができると良いと願っています」

 「レオン君って、面白い人なんですね!もうちょっとくだけてお話しません?」



 ね?、とミューが首を傾げながら上目遣いをしてきた。



 「あー、よく言われるんですよね。親に厳しくされてきたので、今更変えられないというか。すみません」



 俺は至って冷静に、礼儀正しく言った。



 「そうなんですね。よく存じてますよ」



 口ぶりを真似てくると、うーん、とミューは腕を組みながら考えはじめた。



 「わかりました」

 「何がですか?」



 「私と、恋しませんか。それも、期限付きの。ひと夏の恋ってやつを」