ハルサメレオンの春




 俺の役柄はというと、本当に恋を寄せている相手の妹(ミュー)から告白をされ、思わず付き合ってしまう…という設定だった。

 脇役ではあるが、ドラマの出番の話数も台詞もそれとなく多い。

 台本をこの時に初めて渡されたが、パラパラっと見たところ、ミューとの対話が目立った。

 これはあの3人には見せたくない内容であった。


 ミューはというと
 「よろしくお願いしますね、レオン君」


 顔合わせの後に雑談が始まり、にっこりアイドルスマイルで、2つ年上だが幼く振舞ってきた。同じくよろしく、と言うと、手を差し伸べて握手をしようとしてきたので俺も手を差し伸べた。

 が、交わされた。

 差し出した俺の片手だけが宙へ放り出された。


 「ごめんなさいー!ミューアイドルだけど、レオン君はファンじゃないもんね?だから握手してあーげないっ」


 いたずらっ子のようにニコッと笑顔を向けてきた。