ハルサメレオンの春




 相手はゆりあ好みの、と言っても、既に登場している。ゆりあも手にしているあの、映え写真に収められていたアイドル「みゆう」。通称、ミュー。

 顔合わせのこの日、俺は何故か色紙を抱えさせられていた。

 恥ずかしさ…ああ、あったとも。3つの怒りを後でぶち撒けたい。あの3人から受け取ったそれが俺のカバンには潜んでいた。

 まず自己紹介からはじまり、1人ずつ淡々と進んで行った。けれど、彼女、ミューの時だけは違った。きっと各々が緊張をしていたのだろう。皆が心なしか目線を下に向けていた。

 「えっと…ミューです!」

 てへっ。という言葉がお似合いな程にミューは舌を出して照れ隠し半ばに緊張をして見えた。そして会場中の皆がバッ!!とした勢いでミューを見据えた。

 あまりにも皆が勢いよく顔を振りかざしたので、机や椅子がガタッとした音が少し響いた。

 それ程までにミューは元から注目されていたし、さすがは俺が認めるゆりあが好むだけの人材であった。