「…-ってことがあって」

 「そうなの」

 「そ」



 あれだけ語らせておいて、これだけだ。

 俺の婚約者、【ゆりあ】はふわふわした容姿からは見て取れない内面をしている。



 「クールな高校生」「クールな若手」「クールなアイドル」、これだけクールクールクールと言われているこの【クール】な俺が、

 彼女には負けている。



 「ここで普通なら」

 「しんぷ」


 キタ。いや、負けた。



 「側の妹役ってどうなのかな」



 ノー天気なこのゆりあ様に、俺は火負ける日々となってしまった。