広告の仕事ひとつと言っても、様々にある。今回は大きくは街中の看板、小さくは商品の包装。いわゆる広告塔なだけに、色んなカットを撮影していた。

 まだコマーシャルが地上波で流れるのかは聞かされていない。スケジュールがチグハグとしていた。俺が採用されたのも、オーディションを出せない時期にマドカさんのスケジュールがバッティングしたかららしい。

 マドカさんの出る作品は売れる。かと言って、商品が売れるかは別であって、俺が広告になる物はよく売れた。昔から。



 -そんな2人の初顔合わせだった。



 「もう少ししたら再開しまーす」



 AD(アシスタントディレクター)の声がスタジオに響いた。