-ゆりあは俺にいつも無反応であった。
学校内でどれだけ視線を向けられようと、教室で突然の告白を受けているところを目の当たりにしようと、隣の席で教科書を共有している時も、俺が忘れてもいない傘を忘れたフリをして相合傘をした時も。
俺にちょっかいを出してくる女優から毎日のように連絡が来ようとも…
何ひとつとして同情はなかった。
俺はそれに何も言えないし、感情が揺らぐ訳でもない。
ただ、ひとつ。
「どう思う、婚約者さん」
俺はゆりあの顎をクイッとするかのように目を見入った。そう、見てやった。
俺はゆりあの揺らぐ顔が見たい- ただ、そう思った。…婚約者として…



