満天の君と、純白のヒメゴトを。

好意や信頼…泉くんが言っていたのと一緒だ。
そう気付くと同時に思い出されたのは、あの夜少しだけ垣間見た樹々瀬灯の…完璧アイドルの生い立ち。

周囲の期待や先入観に翻弄されて形成された、正反対の偶像。

「なのに、ひとみちゃんの優しさに甘えて俺の秘め事に付き合わせた。俺の信頼が、ひとみちゃんの迷惑になるなんて考えもせずに、勝手に一人で舞い上がって…」
「違う!迷惑だなんて、そんなことない」

弾かれるように顔を上げる。

こんな時まで穏やかな彼の眼差し…その奥で密かに揺らぐ、切なる月光。

あの日私が「泣いている」と悟った瞳なのに…どうして忘れていたんだろう。

震える彼に笑ってほしいと願って手を伸ばしたのは、他でもない私で。

なのに今、彼を悲しませているのも他でもない私。

私…何がしたいの?

「謝らなきゃいけないのは私。中途半端なことばかりして迷惑をかけているのは、私なの」
「それって…」
「樹々瀬くんは憧れの的。例えそれが素の姿と相反していても、みんなにとっては不変の事実で。私なんかが軽率に樹々瀬くんと関われば、色んな人の想いを無下にする。だから、」

誰の敵にもなりたくない。一生懸命な人を傷付けたくない。そう思ってとった選択が、今度は彼を傷付けている。

樹々瀬くんからしたら急に掌返しにされたも同然だ。

それでも私は。