第三話 素足のままで姫ごとを
翌朝登校すると、返してもらいそびれた教科書は机の中にしまわれていた。表紙に添えられた感謝の文字が光る付箋は見なかったことにするため、鞄の底に押し入れる。
生徒会室にも行かなくなった。
時折送られてくるメッセージは未読のまま。
偶に廊下ですれ違ったり女の子達に囲まれている姿を見かけたりしても、目を逸らすばかりの日々が続いた。
丁度テスト期間に入ったこともあり、樹々瀬くんも今までより忙しくなったのだろう。徐々に連絡は減り、いつも以上に気が重い中間テストが幕を開けた。
案の定手ごたえはイマイチで、残すは最終日のみとなった木曜日。
試験後も残って自習する合間、休憩がてら食堂前の自販機に飲み物を買いに出る。
お気に入りのいちごミルク目当てで小銭を投入し、ボタンを押す。しかし出口に現れたのは何故かブラックコーヒーだった。しかもホット。自販機にすら見放されてる。
渋々飲めもしない缶コーヒーを取り上げる背中は、快活な声量に蹴られる。
「繭菜っ!調子はどう…ってどしたん。テストやばい?」
「あ、泉くん…。泉くんはあれだね、今日も絶好調だね」
「まぁ、今日数学だったから。一番事前に勉強しなくていい教科じゃん?」
「わあー全文系を敵に回す発言」
「俺だって一応文系なんだけど」
「理数科目含め全教科得意ななんちゃって文系と一緒にしないで」
底抜けに明るく肩を揺らしながら近くのベンチに腰を下ろす泉くんは、私の掌中のブラックコーヒーに眉根を寄せる。
何だか俯く心の内を見透かされたような気がして、私は背後に手を回す。
そのまま無言で隣に腰掛ける私に、泉くんは紡ぎかけた言葉を飲み込むと、仕方なさそうに眉尻を下げる。
翌朝登校すると、返してもらいそびれた教科書は机の中にしまわれていた。表紙に添えられた感謝の文字が光る付箋は見なかったことにするため、鞄の底に押し入れる。
生徒会室にも行かなくなった。
時折送られてくるメッセージは未読のまま。
偶に廊下ですれ違ったり女の子達に囲まれている姿を見かけたりしても、目を逸らすばかりの日々が続いた。
丁度テスト期間に入ったこともあり、樹々瀬くんも今までより忙しくなったのだろう。徐々に連絡は減り、いつも以上に気が重い中間テストが幕を開けた。
案の定手ごたえはイマイチで、残すは最終日のみとなった木曜日。
試験後も残って自習する合間、休憩がてら食堂前の自販機に飲み物を買いに出る。
お気に入りのいちごミルク目当てで小銭を投入し、ボタンを押す。しかし出口に現れたのは何故かブラックコーヒーだった。しかもホット。自販機にすら見放されてる。
渋々飲めもしない缶コーヒーを取り上げる背中は、快活な声量に蹴られる。
「繭菜っ!調子はどう…ってどしたん。テストやばい?」
「あ、泉くん…。泉くんはあれだね、今日も絶好調だね」
「まぁ、今日数学だったから。一番事前に勉強しなくていい教科じゃん?」
「わあー全文系を敵に回す発言」
「俺だって一応文系なんだけど」
「理数科目含め全教科得意ななんちゃって文系と一緒にしないで」
底抜けに明るく肩を揺らしながら近くのベンチに腰を下ろす泉くんは、私の掌中のブラックコーヒーに眉根を寄せる。
何だか俯く心の内を見透かされたような気がして、私は背後に手を回す。
そのまま無言で隣に腰掛ける私に、泉くんは紡ぎかけた言葉を飲み込むと、仕方なさそうに眉尻を下げる。



