満天の君と、純白のヒメゴトを。

「宮美さん?」

この間の人懐っこさと、目の前の美少女の刺々しさが脳内で一致せず固まる。そんな私に、宮美さんは表面上はにこやかに続ける。

「聞きたいことと、回答次第では言いたいこと。二つともわたしにとっては至急解明を要する事案で…だから繭菜さん、少しお時間頂戴してもいいかな?」

あざとい語調とは裏腹に、行間から覗く隠しきれない圧力が否応なしに私の首を縦に振らせる。

華奢な背中が先導した先は、下足室からやや離れたゴミ捨て場の裏。中庭に聳える桜の木が新緑の葉の傘を作り、私たちを通行人から匿う。

「…わたし、腹の探り合いとか詮索とかどうにも性に合わなくて。だから単刀直入に聞くね」

長いまつ毛が、透度の高い瞳に陰を落とす。
ダイヤモンドが黒曜石に姿を変えるような彩度の急転換に、冷や汗が背筋を伝う。

「繭菜さんあなた、樹々瀬くんと一体どういう関係なの?」

鋭い問い掛けに、喉が粘り気に支配される。

薔薇のように凛と微動だにしない彼女の眼差しが全てを物語っていた。

「見たの。五限の前、樹々瀬くんとあなたが話しているところ」

途端、思い出す。樹々瀬くんと解散する前に妙に焦ったように響いていた足音…あれは宮美さんの足音だったんだ。

どうしよう。誰にもバレちゃいけない内緒なのに。

「遠目で見かけただけだから話の内容はわからない。でも、ただの同級生同士の会話じゃないことはわかった。だから聞きたいの。あなたと樹々瀬くんは一体何なの?」
「何…」

答えに詰まり、乾くばかりの唇を必死に持ち上げる。息が上手く吸えない。

「行事運営を担う生徒会役員とただの文化委員長。それ以上でも以下でも…」
「本当に?」
「…」

本当は、私もよくわからない。友達、知り合い、同級生…そのどれもが私たちを形容するには物足りない。

押し黙る私を、容赦のない溜め息が迎え入れる。