マリとリエはArge〜私達は本当の恋がしたい〜

 *


 身支度を終え一室を出ると、めいとケイが何やら一悶着していた。

 演技がなっていないだの、角度がどうだの、感情が入っていないだの。…お遊びもそこそこに。



 「あ、ゆりあ」

 「ゆりちゃん」



 わあ、とめいが駆け寄ってくる。
 深い赤色のめいに、ピンク色のパステルカラーのドレスを纏った私。2人が並べばまるで薔薇の花の様だった。

 めいの召使い、マリとリエが熱心にワンレフを構えて撮影をしている。



 「素敵よ」

 「ありがとう」



 グレーのタキシードが、翼の生えたあの日の少年に見えた。
 ケイは気づいていない。照れ隠しをしているつもりでも、私にはわかるもの。

 ねえ、ケイ。私、知ってるの。


 ケイは気づいていない。


 レオンと引きを取らないその容姿。182cmあるレオンを上回るその背丈。澄んだブルーの瞳。日に当たると茶色くなるその髪も。艶やかな肌に程よい筋肉がついた腕も。

 「扱いづらい」…きっとそんな理由で日本の芸能界ではお祓いになっているんだわ。



 私はケイの彼女であるめいに目をやった。

 また、そんなにちょっかい出しちゃって。美人が台無しだわ。



 「どうしたの」



 遅ればせながら、レオンが現れた。

 深いブルーのタキシードを召していた。レオンたら、いつもいつも。



 「遅いわよ」

 「ちょっと打ち合わせがあって」



 きっとマネージャーさんとの連絡とか何かだろう。レオンは幼い頃からその芽を出し、今も続けている。