マリとリエはArge〜私達は本当の恋がしたい〜

 




 「今日(こんにち)の後半の主役のお披露目です」最初に出てきた叔母様が、二度目のにこやかな司会を始める。

 艶やかな黒髪の少女と、美しいブルーアイの少年。今度はこの2人を大人達は担ぎ上げた。レオンとゆりあを軸として-




 




 -まるであの日みたいだ。


 「なによ、ブルーアイ」


 口調をどこぞのお嬢様と真似て、アヒル口を向けるのは黒髪の三ノ宮(さんのみや)めい。僕、(つるぎ)ケイの正式な婚約者。容姿をこんなにも滑稽に言えるのはこの子くらいだ。


 「オメカシなーんてしちゃってさ」


 それはこっちの台詞、と言いたい。めいは、いつにも増して美人さが際立っていた。強めの紅いルージュも良く似合っている。
 深い赤色のドレスに黒い髪が冴えていて、ブラックのシューズが彼女を引き締めた。

 僕はというと、グレーのタキシードに身を包まれていた。


 「エスコートしてくれるのかしら」


 スッと右手を差し出すめい。無邪気さが僕を蝕んだ。
 今はその一つ一つが、痛くてしようがなかった。



 僕はこの時、恋というものをまだ知らずにいたんだ。