灰色だった空が青に染め変わり。灼けるような陽差しが痛くて、静かだった夏。 紗江や織江さんと電話やメッセージでお喋りしたり、亞莉栖でだけ、まだ帰ってこない男の愚痴こぼしたり。 仁兄と哲っちゃんがあたしに甘いのも、おばあちゃんが厳しいのもいつもどおり。 真が海と、花火を見に連れてってくれた。前に三人で食べた磯焼きを思い出した。 台風に泣かされた十月の終わり。榊が帰ってきた。 なんだか喉が渇きっぱなしな夏だった。 飲んでも飲んでも、足らない夏だった。