このまま抱かれてしまいたい


 ゆらゆら揺れながら、疲れと眠気でぼーっとした頭で考えてしまう。



 このまま抱かれてしまいたい。



「え?」

「え?」

『え?』に対して『え?』で返す私は一体なんなのか。目の前には見開いた目で私を見つめる彼がいて、私の身体を揺らす手が止まっていた。

もしかして今の、声に出てた?

「あ、ご、ごめんなさい。今の忘れてください!」

「いや、よく聞こえなくて。もう1回言ってください」

「だから、今のはなかったことに!」

「なかったことになんてできませんよ。『このまま抱かれ…』」

「うわ―――!」

 私は恥ずかしさのあまり両手で顔を覆った。

「『抱かれてしまいたい』って聞こえたんですけど」

 彼の声が耳元で聞こえてビクっと身体が震えた。

「僕に、ですか?」

 彼はさらに追い打ちをかけてくる。完全に聞こえていたんじゃないか。穴があったら入りたいとはこのことだ。私は何も言えず、ただ身体が燃えるように熱くなっていくのを感じた。

「おこがましいことを聞きますが、沢田さんは僕のことが好きなのでしょうか?」

「……はい…」

 私は消え入りそうな虫の声でやっと答えた。

「はあ」と小さなため息が聞こえてきて、ふっと息が洩れる音がした。

「ごめんなさい、僕は嫌です」

 分かってはいたが、あからさまに拒否する彼の言葉が胸に突き刺さった。

「ここは、仕事場なので」

 ???